つんく
「ハロプロサウンド研究所」と銘打ったこのブログに、今まで一度も「つんく」の名前が登場していないのを奇異に思っている方もいらっしゃると思いますので、ここらで俺の考えを書いておきたいと思います。
果たしてつんくは、どの程度までハロプロに関わっているのか? これはハロプロ最大の謎だと思うんですよね。
例えばつんくの存在を最も重く捉えると、「ハロプロ楽曲を全て作詞・作曲・プロデュースし、モー娘。メンバーの加入、卒業もつんくが決めている」ってことになる。実はこれが公式に謳われているつんくの立場なんだけどさ。
楽曲はともかくとして。売り出し、生活とか将来とかを考えたタレント管理とか、リスクを被るのは事務所なんだから、メンバーの募集時期、加入メンバーの選定という大事なことを外部スタッフであるつんくが決めてる訳がないよね。卒業もまた然り。卒業した後の活動とか本人の意思とか色々あるんだから、そんなの事務所と本人が話し合って決めてるに決まってます。これは社会常識のお話。当然、最も有力なアドバイザーとして、つんくの意見も聞いているとは思いますけどね。
さて、当研究所として最も重要な楽曲の制作についてですが。俺はハロプロにおけるつんくの役割を最も軽く見積もっていて、事務所が組織する楽曲制作チームを管理するプレイング・マネージャー程度の存在だと考えています。具体的には、事務所と繫がりのある複数の作家たちとの共同作業。作詞のアイデアの提供、作曲では鼻歌の提供くらいで、楽曲に仕上げるのは編曲家……とか。ほとんど関わっていなくて、最後に判子を押すくらいの楽曲もあるかもしれない。つまり、「ハロプロ楽曲制作部長」くらいの存在なんじゃないか、と。これが当研究所の今のところの推測です。理由はふたつ。
その1■■■作曲数が個人としてのキャパを超えている
調べると、99年から現在に至るまで、つんくはだいたい年間50〜70曲くらい作詞作曲してます。5日〜7日に1曲。それを12年間継続中。一人の人間が、そんなに長期にわたって楽曲を安定供給できるものなのか。ビートルズ時代のレノン=マッカートニーだって二人がかりで7年に200曲、1年あたり30曲弱なんですから。
その2■■■初期モー娘。との作風の違い
モーニング娘。の1stから3rdまでのアルバムが、全曲つんく作詞作曲プロデュースだということに、俺に疑いはない。これは俺の主観丸出しになってしまうけど、詞の世界観、曲の雰囲気、サウンドに確実に共通するものを感じる。例えば1stの「ワガママ」、2nd「好きで×5」、3rd「おもいで」。あと「夢の中」「パパと似ている彼」「くちづけのその後」とかさ。みんな同じじゃん、雰囲気! ちょっと妖しげな歌謡ロックっていうか。で、1〜3枚目までは他の収録楽曲も、そういうトーンで統一されてますよね。
しかし、4thからはその連続性は失われる。それまでのトーンから、例えば「好きな先輩」とか「いきまっしょい!」とかの楽曲は出てこないだろう、と俺は思う。5th以後はさらに、1stから3rdまで似たようなトーンの曲を量産していた人間とは思えないほど楽曲の幅は広がり、今に至る。
俺は3rdから4thの間に、つんくから制作現場へと大幅な権限委譲が行われたと見る。3rdってはっきり言って駄作としか言いようがないんだけど、それは1stからつづく「つんく路線」の行き詰まりをはっきり表してますよね。これがつんく本来の楽曲制作キャパでしょう。そして、つんく個人の力では楽曲にこれ以上の広がりが出ないのが明らかになったその頃、石川吉澤辻加護が入ってモー娘。は人気絶頂期を迎え、ユニット多発などの拡大路線を推し進めてゆく。ここで事務所は楽曲制作体制を改変したと思う。つまり、つんくを名前だけの作詞作曲クレジット、プロデューサーに祭り上げ、実態を事務所主導の楽曲制作チームに移行させた、と。……以上が俺のストーリーです。
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かといって、つんくが何もやってないってことも、また有り得ない訳で、どの曲でどれくらいつんくが関わっているかは全く窺い知ることはできません。モー娘。のアルバム曲なんかは、つんくが実際に作ってる曲も多そうな気もするし。ハロプロ楽曲に散見される説教臭い歌詞の世界観、メロディの類似……けどBerryz工房はほとんど他に丸投げなんじゃないかなあ?みたいに、推測するばかりです。これがビートルズとかの大物だったら「実はこうだった」みたいな証言者が出てくるだろうけど、ハロプロじゃそんなのなさそうだし。
ただ、「やっぱり俺の推測は間違ってるかもしれない」と思うのは、"作詞作曲のクレジット"という重さですよね。今の法律だと著作者であるつんくの死後50年まで、ハロプロ楽曲の著作権はつんくとその遺族が保持し続ける事になる訳です。例えば実際は下請けの若い作家が作曲したとして、曲の権利を事務所が買い取るとか有り得るのかな。俺は芸能事務所とか事情が詳しくないから全く分からないのだけど。
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という訳で、公式に謳われている「メンバーの加入と卒業を決めているのがつんくである」というのがフィクションである以上、「つんくクレジット」が疑わしいのもまた事実であるが、その実態は永遠に闇の中であり、それを想像しながら聴くのもまたハロプロの楽しみである。……以上が、つんくに対する当研究所のスタンスであります。
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