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2012年8月 8日 (水)

ピョコピョコ ウルトラ / モーニング娘。

先週、雑誌のコラムで「ピョコピョコ ウルトラ」がかなり音楽的に評価されてて、それを受けてネットでも「ピョコトラは良曲なのか否か」という議論がされているのを読みました。こういうのは面白い。見たところ糞曲派と良曲派はちょうど五分五分といったところ。

俺は、この「ピョコピョコ ウルトラ」は大変良く出来た楽曲だと思っています。聴けば聴くほど面白い。

この曲はリズムですよね。それもポリリズム(複数のリズム)的な。

キーボードの「ンチャ ンチャ ンチャ ンチャ」って感じの裏打ちのリズムが基本にあって、それに左から鳴ってる「チッチキチッチッチキチー」って忙しいハイハットが上から被さり、下ではベースがうろうろと動き回ってる。そしてサビではキックが四つ打ちになったりする。鳴ってる楽器が全部リズムを刻む役割を果たしてる。一聴してそのリズムの全体像を掴むのは困難だ。

俺が好きなのは、左の「チッチキチッチッチキチー」って音を意識の中心に持ちつつリズム全体をずっと聴いていると、どんどんグルーヴが加速してきて、サビの四つ打ちから最後の「わーたーしーみぃて」に至るころには、まるでテンポが速くなってるんじゃないかと錯覚するくらいの疾走感を味わうことができる、この感じです。

酒飲みながらピョコトラを聴いてるとそんな感覚になることが多くてこれが気持ちいいんですが、そういう意味ではちょっとドープな感覚の曲なのかもしれませんね。

ってことでこの曲、幼稚園児向けかってくらいキャッチーなタイトルに対し、楽曲の内容はかなり複雑で一回聴いただけでは何が何だか分からないと思います。だから、スルメ曲って言い方は好きじゃないけど、「ああ、こんな風になってるのか」って聴く度に新しい発見があるからまったく飽きがこない。本当に面白い。

だがしかし、こんな分かりにくい前衛的な曲をよくシングルにしたものだと思います。メロディなんてあってないようなものだしね。

あ、あとこの曲のもう一つの聴きどころは、譜久村の「あたーまのなかー表現すーるとーこうなるーの」です。これはネットでも同意見が結構あって嬉しかった。喉に力を入れるメンバーが少なくないハロプロの中で、譜久村聖のナチュラルな発声は貴重だと思う。

という訳で絶賛してまいりました「ピョコピョコ ウルトラ」、その後に続く「恋愛ハンター」「One・Two・Three」と合わせて、将来的には「カラフル期(次のアルバムタイトルから勝手に命名)を代表するエレクトロ三部作」と呼ばれるようになるのではないか、というのが現在の俺の見立てです。

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コメント

初めて書き込ませて頂きます。
 
私もピョコトラは聴く度に発見が多い曲でした。
初めはタイトルと衣装のインパクトに騙されあまり好んで聴かなかったのですが、
音源だけで聴いてみると疾走感からアレンジから全てに引き込まれていきました。
 
ハロプロ曲の魅力は余所がやりたがらない曲を、時代も流行りも無視してあえてやっていく『挑戦的な姿勢』にあると思っています。
まずつんくのしつこいぐらいのシャウトは他では絶対やりませんし、やれないですよね(笑)
なので私は音楽好きではなくタダのハロプロ好きですが、何気なく聴こえてくる最近の音楽(というか今やアイドルソングばかりですが)は退屈でしかたありません。
アイドルブームが悪いとは言いませんしハロも恩恵を受けているのでしょうけど、
覚えやすいだけのメロディと雑音のように重ねられたユニゾンが、
今の日本を代表される歌のように扱われる事に疑問を感じてしまいます。
だからといってハロプロが万人受けするタイプの歌手だとは思っちゃいませんけど(笑)
 
長くなりましたが次の更新も楽しみにしています!

コメントありがとうございます。

そうそう、「挑戦的な姿勢」ですよね。ハロプロは。一応J-POPの端くれなのに(笑)、あんまり売れ筋の音とか考えてない。今どき70年代ソウルの引用とかビートルズへのオマージュとか色々やってくるから面白いです。

以前「パート割り」について書きましたが、やっぱりユニゾンは面白くないですね。ユニゾンばかりだったら、ハロプロ聴いてないかもしれません。上手い人も下手な人も、一人ひとり違いが表れているからハロプロは飽きないですね。だから歌唱力の成長具合も分かりますし……うーん、やっぱり面白いですハロプロ。

毎回更新楽しみにしています。
「ヤッタルチャン」を取り上げていただけないでしょうか。
この曲はAメロ、Bメロ、サビという定石を裏切っていて、つんくさんが時々行うヘンテコ構成になっているかと思えます。
またそれが、「今からサビ!聞け!」のような塊感がなく、最後まええらくスムーズでシームレスに聞こえるところがとても気に入っています。
自分は音楽理論には明るくないため、 ko_bayashiさまの解説をいただけないかなと思いました。

ご期待コメント、恐縮です。

ヤッタルチャン、わたくし的にも上半期の中ではお気に入りです。以前にもこのブログで取り上げた、ちょこっとLOVE〜ギャグ100〜彼店の流れにつながる由緒正しいハロプロ節という感じですね。しかも、おっしゃるようにA〜B〜サビという単純なパターンじゃないのに、えらく自然に曲が展開しますよね。

曲もいいですが、わたくし、この歌詞にはちょっとグッときています。ふだんは歌詞なんか気にしないのに……。

ガンバルチャンになってこの辺を文章にしてみようかな……。

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