人物・グループ

2011年6月29日 (水)

高橋諭一(編曲者)

今日は、前回取り上げた「蝉」の編曲者、高橋諭一について考えましょう。

気になる人なんですけど、ネットで調べても詳しいプロフィールがないんですよね。wikiで、森高千里時代からアップフロント関係の仕事が多い人、くらいのことしか分からない。

だから、この人の人となりについては作品から類推するしかないんですが、ひとつ分かるのは、「この人は本当にビートルズが好きなんだろうなあ」ということです。

前回書いた「蝉」はビートリーな曲の典型でしたが、もう一曲、俺が好きなのは森高千里「素敵な誕生日」。このカントリー風のギターの音色とフレーズが、初期のジョージ・ハリスン風なんですよ。具体的には「What Goes on」かな。ジョージ・ハリスンならではの、チェット・アトキンス風のニュアンスを分析&再構築したギターアレンジなんで、俺は当時から好きだった。

もう一つ、俺が高橋諭一氏に密かに付けているニックネームがあって、それは「ギターの魔術師」。

「蝉」の間奏も、あれは一種の発明ではないか、というくらい斬新なギターの使い方でしたが。「SEXY BOY〜そよ風に寄り添って」のイントロのギターリフもけっこう新しいと思う。単純なフレーズかもしれないけど曲全体を支配してるし、何しろ強烈な印象を残します。

あと「春 ビューティフル エブリデイ」「好きな先輩」。この二曲もギターの音色とフレーズが印象的な曲です。特に「好きな先輩」は、何本ギター入ってるの?ってくらい複雑に入り組んでてかなり聴き応えがある。合いの手みたいに入るオブリガードもいちいち俺のツボに入ります。良い。

だから、wikiの短いプロフィールによると「日本の作曲家、アレンジャー、ギタリスト、キーボーディスト」ってことになってるけど、俺はこの人は元々はギタリストが本業だったと思ってます。

……って、それなりに興味がある人なのに、その程度の推測しかできないこのもどかしさよ……でもまあ、これもハロプロを聴く楽しみのひとつということで。

【参考楽曲】
森高千里 / 素敵な誕生日

ビートルズ / What Goes on

2011年5月14日 (土)

夏焼 雅

夏焼雅は、美声の人。この人の歌を聴いていると、なんかバイオリンみたいだな、と思うんですよ。倍音っていうの? 声の張りとか艶とか伸びとかそういうのがバイオリンみたい。もちろん音程もしっかりしてるから安心して聴けるし。

けど、生硬な歌い方でグイグイ押していくパターンが多く、表現の幅がちょっと狭い感じです。俺の中では「160km/h超の剛速球だけで勝負するピッチャー」、というイメージ。

それだけに、曲調が夏焼voにハマると凄いことになる。最近思ったのは「ヒロインになろうか!」ですよね。夏焼パートは全部いいけど、転調と同時の夏焼の「woooo!!!」、この瞬間の為にこの曲はあるんじゃないかと俺は思う。それにしてもこの人の声は、なぜこんなにシリアスな曲に似合うのか。要するに「格好いい」んですよvoスタイルが。かつての浜田麻里とかみたいに、女性からの人気が出てもおかしくないタイプだと思う。

あと最近思ったのが、Buono!の「Miracle Happy Love Song」、この曲の夏焼voは通常よりも低い声がビンビンに張り詰めてて痺れるんだけど、この人はこれから年齢を重ねると声が低くなって、こんな感じのvoスタイルが多くなっていくんじゃないのかな。そうしたらもう、歌声だけで人を振り向かせることができると思う。「えっ、誰なのこのボーカル?」って感じで。

……なんて思ってたところにBerryz工房の最新アルバムを聴いたら、いきなり「一丁目ロック!」の夏焼voが軽くシャウトしてて凄まじかった。もはや声に凄みすら感じるんだけど、この人はこれからどうなるんだろう。……俺はハードロックに専念するのが一番いいと思うけど。

【参考楽曲】
Berryz工房 / ヒロインになろうか!

2011年4月28日 (木)

つんく

「ハロプロサウンド研究所」と銘打ったこのブログに、今まで一度も「つんく」の名前が登場していないのを奇異に思っている方もいらっしゃると思いますので、ここらで俺の考えを書いておきたいと思います。

果たしてつんくは、どの程度までハロプロに関わっているのか? これはハロプロ最大の謎だと思うんですよね。

例えばつんくの存在を最も重く捉えると、「ハロプロ楽曲を全て作詞・作曲・プロデュースし、モー娘。メンバーの加入、卒業もつんくが決めている」ってことになる。実はこれが公式に謳われているつんくの立場なんだけどさ。

楽曲はともかくとして。売り出し、生活とか将来とかを考えたタレント管理とか、リスクを被るのは事務所なんだから、メンバーの募集時期、加入メンバーの選定という大事なことを外部スタッフであるつんくが決めてる訳がないよね。卒業もまた然り。卒業した後の活動とか本人の意思とか色々あるんだから、そんなの事務所と本人が話し合って決めてるに決まってます。これは社会常識のお話。当然、最も有力なアドバイザーとして、つんくの意見も聞いているとは思いますけどね。

さて、当研究所として最も重要な楽曲の制作についてですが。俺はハロプロにおけるつんくの役割を最も軽く見積もっていて、事務所が組織する楽曲制作チームを管理するプレイング・マネージャー程度の存在だと考えています。具体的には、事務所と繫がりのある複数の作家たちとの共同作業。作詞のアイデアの提供、作曲では鼻歌の提供くらいで、楽曲に仕上げるのは編曲家……とか。ほとんど関わっていなくて、最後に判子を押すくらいの楽曲もあるかもしれない。つまり、「ハロプロ楽曲制作部長」くらいの存在なんじゃないか、と。これが当研究所の今のところの推測です。理由はふたつ。

その1■■■作曲数が個人としてのキャパを超えている
調べると、99年から現在に至るまで、つんくはだいたい年間50〜70曲くらい作詞作曲してます。5日〜7日に1曲。それを12年間継続中。一人の人間が、そんなに長期にわたって楽曲を安定供給できるものなのか。ビートルズ時代のレノン=マッカートニーだって二人がかりで7年に200曲、1年あたり30曲弱なんですから。

その2■■■初期モー娘。との作風の違い
モーニング娘。の1stから3rdまでのアルバムが、全曲つんく作詞作曲プロデュースだということに、俺に疑いはない。これは俺の主観丸出しになってしまうけど、詞の世界観、曲の雰囲気、サウンドに確実に共通するものを感じる。例えば1stの「ワガママ」、2nd「好きで×5」、3rd「おもいで」。あと「夢の中」「パパと似ている彼」「くちづけのその後」とかさ。みんな同じじゃん、雰囲気! ちょっと妖しげな歌謡ロックっていうか。で、1〜3枚目までは他の収録楽曲も、そういうトーンで統一されてますよね。

しかし、4thからはその連続性は失われる。それまでのトーンから、例えば「好きな先輩」とか「いきまっしょい!」とかの楽曲は出てこないだろう、と俺は思う。5th以後はさらに、1stから3rdまで似たようなトーンの曲を量産していた人間とは思えないほど楽曲の幅は広がり、今に至る。

俺は3rdから4thの間に、つんくから制作現場へと大幅な権限委譲が行われたと見る。3rdってはっきり言って駄作としか言いようがないんだけど、それは1stからつづく「つんく路線」の行き詰まりをはっきり表してますよね。これがつんく本来の楽曲制作キャパでしょう。そして、つんく個人の力では楽曲にこれ以上の広がりが出ないのが明らかになったその頃、石川吉澤辻加護が入ってモー娘。は人気絶頂期を迎え、ユニット多発などの拡大路線を推し進めてゆく。ここで事務所は楽曲制作体制を改変したと思う。つまり、つんくを名前だけの作詞作曲クレジット、プロデューサーに祭り上げ、実態を事務所主導の楽曲制作チームに移行させた、と。……以上が俺のストーリーです。

■■■
かといって、つんくが何もやってないってことも、また有り得ない訳で、どの曲でどれくらいつんくが関わっているかは全く窺い知ることはできません。モー娘。のアルバム曲なんかは、つんくが実際に作ってる曲も多そうな気もするし。ハロプロ楽曲に散見される説教臭い歌詞の世界観、メロディの類似……けどBerryz工房はほとんど他に丸投げなんじゃないかなあ?みたいに、推測するばかりです。これがビートルズとかの大物だったら「実はこうだった」みたいな証言者が出てくるだろうけど、ハロプロじゃそんなのなさそうだし。

ただ、「やっぱり俺の推測は間違ってるかもしれない」と思うのは、"作詞作曲のクレジット"という重さですよね。今の法律だと著作者であるつんくの死後50年まで、ハロプロ楽曲の著作権はつんくとその遺族が保持し続ける事になる訳です。例えば実際は下請けの若い作家が作曲したとして、曲の権利を事務所が買い取るとか有り得るのかな。俺は芸能事務所とか事情が詳しくないから全く分からないのだけど。

■■■
という訳で、公式に謳われている「メンバーの加入と卒業を決めているのがつんくである」というのがフィクションである以上、「つんくクレジット」が疑わしいのもまた事実であるが、その実態は永遠に闇の中であり、それを想像しながら聴くのもまたハロプロの楽しみである。……以上が、つんくに対する当研究所のスタンスであります。

2011年4月23日 (土)

俺(このブログを書いている人)

微妙にコンテンツが増えてきたところでちょっと、自分の話で申し訳ないんですが、俺がなぜハロプロファンになったのか、というのを書いてみようと思います。自己紹介みたいなもんで。

ハロプロにハマっていく過程として、三つの大きなきっかけというかエピソードがあります。

■■■
最初のきっかけは1999年夏。この頃、俺の周りでダンス☆マンのブームがあって。とにかくバックバンドが上手いから音楽的に面白かったんですよね。当時のダンス☆マンはリズム隊が特に強力で、アース・ウィンド&ファイアよりもグルーヴが凄いくらいだった。

で、当時ダンス☆マンは、今は無き「六本木ヴェルファーレ」で月に一度ライヴをやってたの。それを友達と3ヵ月連続で観に行ったりして最高潮に盛り上がってるちょうどその頃、ダンス☆マンがアレンジを手掛けたモーニング娘。「LOVEマシーン」が発売されたんです。

だから俺、「LOVEマシーン」発売直後のヴェルファーレのライヴで、モー娘。抜きのダンス☆マン&バックバンドによる本家「LOVEマシーン」の生演奏聴いてます。これは俺のハロプロヲタとしての最大の自慢。

それからですよね、モーニング娘。に一目置くようになったのは。何しろ日本人アーティストで一番注目してた人物(ダンス☆マン)がバックトラック作ってるんだから。

■■■
次は、初めてモー娘。のアルバム『4thいきまっしょい』を買った時(当時は一般人もCDを買ってたんですよ!)。

「好きな先輩」って曲が妙に良いなあ、と思ってライナーのクレジットを見たら、編曲に「高橋諭一」の名前。この人は、森高千里の曲を作ってた人だ。俺は90年代当時なぜか森高千里の曲が凄く好きで、「アイドルなのに何でこんなに曲が良いの?」って思ってたから、作曲家とかアレンジャーとかの名前をチェックしてたんですよね。特に「素敵な誕生日」のギターがビートルズっぽくて印象的だったから、その編曲者である高橋諭一の名前はずっと記憶してた。

それがきっかけでモー娘。と森高千里の事務所が同じってことを知ったんですが、「もしかして俺はモー娘。というよりもアップフロントエージェンシーという事務所の制作陣が好きなのかもしれない」と思って。それからですよね、アレンジャーに注目するようになり、よりモー娘。を音楽的に聴くようになったんです。

といってもBerryz工房にも℃-uteにも全く興味なし。モー娘。のアルバムをチェックする程度でしたが……。

■■■
そして三番目、ここまでハロプロにハマるきっかけになった、Buono!との出会い。ニコニコ動画の「踊ってみた」で、変なメキシコ人青年がハロプロの楽曲を一人で踊ってる動画があって、その中の一つが「恋愛ライダー」だったんですが(*下にリンクあり)、これが衝撃の出会いでした。とにかく曲の良さが突き抜けてたのもあって、youtubeとかで何度も聴いてるうちに「この緑の子はめちゃくちゃ歌が上手いな」ってことになって。

それからですよね、Buono!は生バンドだから楽しめるだろうってことで、2010年夏の横浜BLITZ公演でハロプロライヴに初参戦。さらに鈴木愛理のvoを追い求めてBuono!に飽きたらず℃-uteを聴き、夏焼雅のvoを追い求めてBerryz工房を聴き……。

それでまあ、このようなブログを開設するに至ったという訳です。


長々と自分の話ですみません、ご静聴ありがとうございました。

【参考動画】

2011年4月18日 (月)

Berryz工房

さて、さんざんBerryz工房について書いてきたので、ここらで中間総括です。

俺は実はBerryz工房をまともに聴き始めたのは数ヶ月前からの話で、それまではあまり興味はありませんでした。ちょっと歌唱力に難がありますからね、夏焼雅さん以外。それに楽曲がエンタメ路線というか、コミックバンドみたいなもんだと思ってたから。音楽性なんてどうでもいいグループなのかな、とか思ってたんですよね。

℃-uteがほぼ一貫してユーロ歌謡(ユーロビートっぽいリズム+歌謡曲っぽい泥臭いメロディ)路線であるのに対し、Berryz工房の楽曲ってあまり一貫性がないし。

でも、ベスト盤を買い、主なシングルをiTunesでDL購入して主要曲を聴いていくうちに浮かび上がってきたのは、「Berryz工房の楽曲はポップミュージックの一大歴史絵巻である」という事実であります。それを今までさんざん書いてきた訳ですが、俺が気付いたのをまとめると下記の通り。俺はアルバムは一枚も持ってないので他にもあると思うんだけど。

・笑っちゃおうよ BOYFRIEND = 50's ・オールディーズ(ポール・アンカとか)
・VERY BEAUTY = 80年代全盛期の松田聖子(秘密の花園とか)
・告白の噴水広場 = 80年代ニューミュージック・村下孝蔵(初恋とか)
・付き合ってるのに片思い = 70年代アイドル歌謡 (たぶんキャンディーズ)
・MADAYADE = 60年代グループサウンズ(ギターがベンチャーズ)
・友達は友達なんだ! = aikoそのもの
・シャイニングパワー = フィリーソウル or 70年代ソウル歌謡(ルパン三世opとか)

…という具合に多くの楽曲に、様々なジャンルのポップスに対するパロディやオマージュが溢れていて、聴いていてとても楽しい。きっとBerryz工房の制作スタッフには、音楽好きの人が多いんじゃないかな。

恐らく、Berryz工房の楽曲を制作する前には、「次どんな感じでいく?」みたいな会議があると思うんですよ、俺の想像だけど。んで「じゃあ、次のシングルは70年代のキャンディーズみたいな雰囲気で行こうか」ってことで「付き合ってるのに片思い」が生まれた、とかね。俺の想像だけど。

新曲「ヒロインになろうか!」は8thアルバムあたりのモー娘。を彷彿させる楽曲でありましたが、いったい次はどんな音楽スタイルを狙ってくるのか。Berryz工房にはそういう楽しみがある。

無料ブログはココログ